顕微鏡撮影・接写撮影について
「1cm以下のコンピューターチップを、斜めから立体感を出して撮影してほしい」というご依頼をいただきました。
下の写真は、弊社で事前にテスト撮影したものです。平らな部分にはしっかりピントが合っており、重ねた500円玉の下の部分は少しボケています。
しかし、コンピューターチップ程度の厚みであれば、全体にピントが合ったシャープな画像が撮影可能です。
一見簡単そうに見えますが、実際には高度な技術が必要な撮影です!
普通の接写撮影について
次の画像は撮影を忘れてしまったため、イメージしやすいように加工したものです。
小さな被写体を斜めから写すと500円の平面の上と下にピントが合いません。
撮影風景とポイント
・1つめのポイントでレンズと500円の距離は約80cm。
これをスマートフォンで撮影しようとすると、被写体までの距離はわずか1cm程度になり、スマートフォンの影が映ったり、遠近感の影響で手前が大きく、奥が小さく写ってしまい、真ん中以外はボケてしまいます。
・2つめのポイントは、カメラとレンズの間が自由に動くというカメラ本体です。(チルト機能など)
緑の破線で示された部分が「チルト機能」で、レンズとセンサーが斜めに動くことで、ピント面を調整できます。
このカメラは、昔の結婚式場などでカメラマンが布をかぶって写していた機材と同じタイプですが、商業カメラマンはこのカメラ本体の全ての機能を有効に使います!
このチルト機能を使えば、小さくて平らな被写体を斜めから撮影しても、全体にピントを合わせることが可能です。
興味のある方はググってください。"4x5 アオリ"
今回の撮影は、一眼レフカメラを4x5カメラに取り付け、チルト機能を使って撮影しました。
この方法で、500円玉のような被写体も8000×5000ピクセルの高解像度で撮影できます。
顕微鏡撮影はできますかとお問い合わせも数年に1度ほどご依頼あります
1cm程度の被写体であれば、顕微鏡よりもデジタルカメラでの撮影の方が高品質な結果が得られます。
さらなるクオリティーUPもできます!
説明が難しく簡略になりますが、より高画質を追求する場合には以下のような方法もあります。
通常の一眼レフカメラのセンサー(24×36mm)を、中判カメラの大型センサー(36.7×49.0mm)に交換することで、解像度は2200万画素と一見下がるものの、センサーが大きいため、実際には非常に高精細な画像になります。
さらに、カメラ本体の「シフト機能」を使ってセンサーを上下左右に動かしながら4枚の写真を撮影し、それらを1枚に合成することで、レンズ本来の性能を最大限に引き出すことができます。